4月の和菓子は桜色!長命寺 v. s. 道明寺、あなたはどっち派?
縁結び工房は、アジアと日本の伝統文化のご縁を結ぶ場所です。また、茶道からつながる世界をお届けします。
4月といえば、桜。皆さんの桜No.1スポットはどちらでしょうか?
新宿御苑といえば、関東の桜No.1スポットにしばしば選ばれる所ですが、私が通っていた高校は、新宿御苑の隣にありました。というか、新宿御苑の一角に高校があるというべきでしょうか。
4月上旬の入学式の日、古い校舎の窓から見えたのは、言うまでもなく満開の御苑の桜でした。視界いっぱいピンクに咲き誇る桜の出迎えに、「これから楽しい3年間が始まる!」と胸をときめかせ、そして実際に楽し過ぎる高校3年間を過ごしたのは、私だけではなかったでしょう。
長い年月が経った今でも、私のNo.1花見スポットは、やっぱり新宿御苑です。毎年のようにお弁当と和菓子と茶籠を持って出かけては、花も団子も、ついでに抹茶も、野点で楽しんでいます。
そして、4月の和菓子といえば、何と言っても桜餅! 長命寺 v. s. 道明寺。あなたはどっち派ですか?
【こちらが、元祖「長命寺桜もち」 by 「山本や」さん。一つにつき、桜葉が三枚もついています】
『長命寺桜もち』は、江戸の大川(現在の隅田川)沿いの長命寺門前で、門番の山本さんが、桜の名所であった墨田堤の桜の葉を塩漬けにして、餅を包んで花見客に売り出したのが始まりとのこと。
【葉っぱをめくってみると、こんな感じ。桜の香りが、部屋中にただよいます】
現在は、餅というのは小麦粉をクレープ状に焼いて餡を包んだものですが、山本や・長命寺の桜もち以外でも、クレープ式の桜餅は長命寺と呼ばれ、関東風桜餅の代名詞となっています。
【↑上は、「源吉兆庵」さんの『桜衣』。↓下は、東京中野の住宅街にある「ちとせぎく」さんの長命寺風桜餅。】
一方の道明寺桜餅は、蒸した道明寺粉(もち米を水に浸してから蒸し、再び乾燥させ、荒く挽いたもの)で餡を包み、その上に塩漬けの桜の葉を巻いたものです。
道明寺粉が大阪府藤井寺市にある道明寺*で作られたことから、この名がついたそうで、こちらが関西風桜餅の代名詞となっています。
【↑上は「鶴屋八幡」さんの、↓下は「たねや」さんの道明寺桜餅】
でも、道明寺桜餅が道明寺門前で売り出されたわけではないので、道明寺門前には『道明寺桜もち』というお店が無いのがちょっと残念です。
でもでも、道明寺桜餅は関西風と言いつつ、東京のお店では、道明寺桜餅だけを売っているところや、道明寺と長命寺の両方の桜餅を売っているところが多くあり、「クレープ式が関東風」という概念が崩れつつあるような気がします。
そして、かくいう私も、かなり道明寺寄りに傾きつつあります。
そうは言っても『長命寺桜もち』もやはり捨てがたく、、、どちらか一方を選ぶことなんて、私には無理な相談のようです。
桜餅も、お抹茶と共に、おいしく召し上がってください♪
*お茶碗の下の帛紗は、縁結び工房shopにて販売しております。
*道明寺粉(=道明寺糒)については、道明寺のサイトに詳しく説明がありますので、ご参照くださいませ。