5月5日は、端午の節句。昔は女性のお祝いだった!?

縁結び工房は、アジアと日本の伝統文化のご縁を結ぶ場所です。また、茶道からつながる世界をお届けします。

5月の行事といえば、端午の節句ですね。
そして、子供の日でもあります。

先日、知り合いの外国人女性に、「5月5日は休み?」と聞かれました。
彼女にとっての日本の行事は、行事そのものよりも、祝日で会社が休みになるか否かが重要事項のよう。

「休みだよ。5月5日は子供の日で祝日」と私が答えると、

「5月5日はBoy’s Festival でしょ!? 3月3日のGirl’s Festival は休みじゃないのに、なんでBoy’s Festival は休みの!?」と、質問はいつしか詰問に。今回に限っては、祝日かどうかより、男女平等かどうかが彼女にとっての重要事項のようです。

「まあ、5月5日はBoy’s Festival だけど、子供の日でもあるので、祝日としては、男の子と女の子の両方の健康と無事の成長を祈るわけで・・・」と、私の回答も、なんとなく言い訳口調。

すると彼女に、「まったく、日本はPatriarchalな国なんだから」と、呆れたように言われてしまい、

「Patriarchalって何?」と私が聞き返すと、「自分で調べて」と言われて、その話は唐突に終了しました。

言われた通り自分でPatriarchalを調べてみると、「家父長の」とありました。
現代日本では、男性に家長権がある家庭もあるとは思いますが、実権は女性が握っているケースも多いわけで。でも、社会の制度としては、やはり男性が優遇される場面が多くあるわけで、、、と、彼女との会話で改めて考えさせられ。

が、しかし。

『四季の行事のおもてなし*』という本を読んでいたら、なんと、「もともと五月五日は女性の節句だった」そうなのです。

「三月三日のひな祭り同様、奇数が重なる月日は悪いことがおこりやすいという“重日思想”の考え方から、この日は本来厄よけの日」でもあったそう。
「菖蒲はその香りで厄よけとなる」「鯉のぼりの矢車はカラカラと回るその音で厄よけとなる」などなど。

で、「五月は早苗月、つまり日本では田植えの月です。この日、田の神様を迎えて豊穣を祈るため、早乙女(田植えをする少女)は巫女となり、屋根に菖蒲や蓬(よもぎ)を葺いた小屋に一晩こもって身を清めたと言います」。

この流れが、“5月5日は男の子のお祭り”に変わって行ったのは、武家社会が始まった鎌倉時代以降。菖蒲が『尚武(武を尊ぶこと)』や『勝負』に通じることが所以です。
(日本人て、何百年も前から、ゴロ合わせとか、ダジャレとか、好きだったのかもしれないですね?)

さてさて、端午の節句に欠かせない和菓子といえば、柏餅と粽(ちまき)ですよね。
塩野_粽3種飾り1_20150424

↑こちらは、赤坂塩野さんの粽3種。↓下は、同じく塩野さんの柏餅。
抹茶の下にある古帛紗は縁結び工房の商品です。

塩野_柏餅と抹茶_20150424

4月の桜餅同様、ここにも地方差があるようで、関東では柏餅は一般的ですが、粽はそうでもなく。
反対に、関西では粽が一般的とのこと。

東京生まれ東京育ちの母は、和菓子の粽は信じられないモノであるよう。

中国系の人々が多いタイに長年住んでいた私は、粽というと、もち米に豚肉や卵、椎茸に銀杏などなどが詰まったホカホカフワフワの中華粽を連想します

が、もちろん「御粽司」として500年以上の歴史を持つ京都の老舗和菓子店「川端道喜」さんの粽は憧れの存在です。
東京でも、いろいろなお店で、柏餅だけでなく粽も販売されていますね。

せっかくですから、今度の5月5日の祝日は、男児のいるファミリーだけでなく、老若男女問わず、粽や柏餅を食べて、菖蒲湯に浸かって、日頃のストレスを解消し、リフレッシュする日としてはいかがでしょうか?

塩野_粽3種中_20150424↑塩野さんの粽は、香りの良い笹野は3枚に、まるでとうもろこしのように包まれています。
左から、水仙、羊羹、外郎です。

↓同じく塩野さんの柏餅は、味噌餡とこし餡の2種。周りのもちが、かなりモチモチで他では味わえない弾力です。

塩野_柏餅2種_20150424

 

*「四季の行事のおもてなし」PHPエル新書、山本三千子著

伝統的な季節の行事の由来から、行事にまつわる「室礼」、つまりお部屋のコーディネート方法まで、綺麗な写真とともに、わかりやすく書かれています。洋のお部屋に取り入れてみても、シノワズリ(西洋人の中国趣味の美術様式)っぽい感じになって素敵かも!

東南アジアの織物や工芸品を使った