第九とお遍路さんと老舗和菓子屋さんにつながる心

縁結び工房は、アジアと日本の伝統文化のご縁を結ぶ場所です。また、茶道からつながる世界をお届けします。

徳島県については、2018年5月に「徳島銘菓とお茶につながるエトセトラ」でブログを更新しましたが、1年ぶりに続編です。
間が空きすぎですよね、、、スミマセン ^^;

さてさて、「お遍路」とは、弘法大師・空海の足跡をたどり四国八十八か所の霊場を巡拝すること。
そのスタートである一番札所「竺和山 霊山寺(じくわさん れいざんじ)」は、鳴門海峡で有名な徳島県鳴門市にあります(でも、位置するのは海から離れた内陸です)。

一番札所・霊山寺に向かう道
一番札所「竺和山・霊山寺」

このすぐ近くには、「阿波國一之宮大麻比古神社」もあるのですが、「一の宮」とは、古くから各地域の信仰が篤く由緒があり、地域の最上位の格を持つ神社ですから、ここは、仏教と神道の一番同士が隣り合っていらっしゃるような、なんとも有難い場所であります。

この付近には、「ドイツ館」という施設もあります。そこは、日本で初めて第九が演奏された場所なのですが、それはなぜでしょうか?

ドイツ館

実は、かつてここには、第一次世界大戦時、日本の捕虜となったドイツ兵を収容した施設があったのです。
捕虜の収容施設というと、捕虜たちの人権は認められず、過酷な環境に身を置いていたのではないかと想像するのが普通ですが、ここでは全く違いました。自主的な活動が認められ、音楽活動をしたり、絵を描いたり、パンを焼いたり、、、また、地域の住民との交流もさかんだったそうです。
私のこれまでの認識からはにわかには信じられないのですが、人権や自由が保障され、異文化が認められるという、先進的な制度でこの施設は運営されていたということになります。
 ※鳴門市ドイツ館: http://doitsukan.com/

話をお遍路に戻します。
現代は交通機関も発達し、飛行機で四国に来て、タクシーやバスでお遍路をまわるという方も多いですが、かつては、当然、自分の足でまわったわけです。
ですので、途中で病や怪我で倒れてしまったり、野垂死というケースもありました。そんな命を懸けたお遍路さんを応援し、飲み物や食事、休憩場所などを提供してきたのが、地元の方々による「お接待」という文化です。

「お接待」と「収容所」のあり方に、私は何か共通するものを感じました。
四国の方々には、『人権』という言葉が日本に存在する遠い昔から、人権を尊重し、人を思いやる気持ちというのが、いつしか自然と備わっていたのではないかと、この地域を訪ねて感じました。見習うべき、また、世界に誇るべき文化だと強く思いました。

徳島市内に戻り、老舗和菓子屋『澤鹿文明堂』さんを訪ねます。ここは、『澤鹿』という棹菓子で有名なお店です。

『金剛杖』という干菓子があり、それも買い求めました。
金剛杖は、お遍路さんの持ち物の一つ。
金剛杖は、四国で生まれ、四国で修行を積まれた弘法大師の化身なのだそうです。
和菓子屋の若旦那(と思われる方)は、とても優しく、物静かな方でした。東京から来たという私に、「わざわざ遠いところをありがとうございます」と、深々と頭を下げてくださる姿が印象的でした。

金剛杖とお抹茶と縁結び工房の帛紗

徳島の観光地を巡り、銘菓をいただき、徳島に生き続ける深い思いやりの気持ちに心打たれ、思い出深い旅となりました。
徳島といえば、2018年大晦日の紅白歌合戦に登場した米津玄師さんの中継が行われた大塚国際美術館も見逃せないポイントですね!

こちらは澤鹿文明堂さんの「しも柱」というお干菓子。こちらも有名だそうです。

東南アジアの織物や工芸品を使った